コラーゲンは食べ物やサプリで本当に増やせるの?「飲んでも意味ない」という声もありますが、研究では何が分かっているのでしょうか。肌のハリを取り戻したい方に向けて、実際の効果と、いちばん確実にできるケアをまとめました。
コラーゲンとは、真皮の大部分を占める肌を内側から支える成分

コラーゲンは、肌の奥深くにある「真皮(しんぴ)」という場所で、肌の形を支える骨組みのような役割をしています。肌の奥をひとつの建物にたとえると、コラーゲンは建物を支える「鉄筋」です。コラーゲンは真皮の乾燥重量の少なくとも70%を占めており、肌を内側からしっかり支える主成分となっています。
この鉄筋の間をつなぐように存在するのが、押しても戻る力を与える「ゴムバンド」のような役割のエラスチンです。そして、その隙間を埋めているのが、水分をたっぷり含んだ「クッション」の役割をするヒアルロン酸です。
これらをつくっているのが、肌の中にある「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」と呼ばれる職人さんたちです。
つまり、コラーゲンを増やすということは、正確には「職人さんが働きやすい環境をつくり、できた鉄筋を壊さないようにすること」を意味します。

コラーゲンを増やす方法を知る前に|減ってしまう原因5選
コラーゲンが減ってしまう原因は、主に紫外線、加齢、喫煙、糖化、女性ホルモンの変化の5つです。なかでも、もっとも影響が大きいと考えられているのが紫外線です。
1. 紫外線|コラーゲンを分解する酵素のスイッチが入る

肌のコラーゲンを減らす最大の外部要因は、太陽からの紫外線です。ごく少量の紫外線を浴びただけでも、コラーゲンを分解する酵素のスイッチが入ってしまいます。
この酵素は、建物を支える鉄筋を切り刻むハサミのようなものです。無防備に紫外線を浴び続けると、この酵素が働き続け、コラーゲンが少しずつ分解されてしまいます。

2. 加齢|20代以降、年に約1%ずつゆるやかに減っていくと報告されている

年齢を重ねることも、コラーゲンが減る原因のひとつです。ある年齢から急激に減るのではなく、成人期を通じて毎年約1%ずつ、ゆるやかに減少していくと報告されています。
これは、コラーゲンをつくる職人さんの働きが、少しずつ弱まっていくためだと考えられています。

3. 喫煙|つくる量が減り、壊す酵素が増える

タバコを吸う習慣は、肌のコラーゲンに大きなダメージを与えます。喫煙によってコラーゲンをつくる量が減ってしまうという報告があります。
それだけでなく、紫外線を浴びたときと同じように、コラーゲンを壊す酵素を増やしてしまうことも分かっています。
つまり、「新しくつくる量が減り、すでにあるものを壊す働きが強まる」という悪循環が起きてしまいます。
4. 糖化|コラーゲンが硬くなり、しなやかさが失われる

糖化(とうか)とは、食事でとりすぎた糖分と、体の中のタンパク質が結びつく現象のことです。コラーゲンもタンパク質の一種なので、糖化の影響を受けます。
糖化が進むと、本来はしなやかな鉄筋であるはずのコラーゲンが硬くなり、弾力を失ってしまいます。ただし、糖質を控えることで肌が若返るかどうかについてはヒトでの明確な研究はないため、ここでは仕組みのひとつとして覚えておいてください。
5. 女性ホルモンの変化|閉経の前後で肌のハリを感じにくくなることがある

女性の体は、年齢とともに女性ホルモンの分泌量が変化します。とくに閉経の前後では、女性ホルモンの減少にともなって、肌のハリや弾力を感じにくくなることがあります。
何年で何%減るかといった具体的な数値は、研究によって差があるため一律には言えません。
コラーゲンが減ると見える肌の変化3選
肌の土台であるコラーゲンが減ると、顔全体の形を保てなくなり、たるみやシワ、毛穴の目立ちといったサインとして現れます。
建物の鉄筋が減ってくると家全体が傾いてしまうように、肌も重力に逆らえなくなってしまうためです。具体的にどのような変化が起きるのかを見ていきましょう。
1. フェイスラインの輪郭がぼやける「たるみ」が現れる

コラーゲンが減って肌を支える力が落ちると、もっとも分かりやすく現れるのが「たるみ」です。
とくにフェイスラインや頬のあたりは影響を受けやすく、以前よりも輪郭がぼやけたように感じることがあります。これは、鉄筋の役割をするコラーゲンや、ゴムバンドの役割をするエラスチンが弱まり、肌が重力に負けて下がってしまうためです。

2. 毛穴が丸から縦長の涙型に伸びる「たるみ毛穴」となる

コラーゲンが減ることで、毛穴の形にも変化が起こります。本来は丸い形をしている毛穴が、肌のたるみに引っ張られて縦長の「涙型」に伸びてしまうのです。
これが「たるみ毛穴」と呼ばれる状態です。頬の毛穴が目立つようになってきた場合、それは肌の表面の汚れではなく、奥の鉄筋が弱まっているサインかもしれません。

3. 顔の肌と二の腕の肌に大きな差がある

自分の肌のコラーゲンが紫外線によってどのくらい影響を受けているかは、簡単なセルフチェックで比較することができます。
鏡で自分の頬を見たあと、普段ほとんど太陽の光を浴びない「二の腕の内側」の肌と見比べてみてください。二の腕の内側の肌は、紫外線によるダメージをあまり受けていないため、本来のあなたの肌のハリに近い状態です。
顔の肌と二の腕の肌に大きな差がある場合、それは加齢だけでなく、紫外線によってコラーゲンが減ってしまった影響が大きいと考えられます。

コラーゲンを「増やす」前に「減らさない」ためにすること3選
コラーゲンのケアでいちばん確実なのは、新しいコラーゲンを増やすことよりも、いまあるコラーゲンを「減らさない」ことです。
とくに、コラーゲンを壊す最大の原因である紫外線を防ぐことは、今日からできるもっとも大切なケアです。
1. 日焼け止めを毎日使う

日焼け止めを毎日塗ることで、肌の老化を遅らせることが期待できるという研究結果があります。55歳未満の903名を4年半にわたって追跡した調査で、日焼け止めを毎日使った人はそうでない人に比べて肌の老化の進み方が24%少なかったと報告されています。
ここで大切なのは、日焼け止めは「すでに起きた老化を元に戻した」のではなく、「老化の進み方を緩やかにした」ということです。
2. 日傘・帽子・衣類で紫外線を物理的に遮る

日焼け止めを塗るだけでなく、物理的に紫外線を遮ることも非常に有効です。
日傘をさす、つばの広い帽子をかぶる、UVカット機能のある衣類を着ることで、肌に届く紫外線の量を大きく減らすことができます。日焼け止めは汗や摩擦で落ちることもあるため、これらのアイテムを組み合わせてカバーするのが安心です。
3. 禁煙する

タバコを控えることも、コラーゲンを守るために重要です。
喫煙は、職人さんがコラーゲンをつくる量を減らしてしまうだけでなく、コラーゲンを壊す酵素を増やしてしまいます。禁煙することは、肌の土台を守り、コラーゲンが正常につくられる環境を取り戻すことにつながります。
食べ物でコラーゲンは増える?正しい食事のポイント4選
食事からコラーゲンを増やすには、材料となるタンパク質をとることと、合成に不可欠な「ビタミンC」と「鉄」を組み合わせることなどがポイントになります。
ただし、コラーゲンをたくさん食べればそのまま肌になるというわけではありません。
1. 食べたものが、そのまま肌のコラーゲンになるわけではない

よく誤解されがちですが、食事でとったコラーゲンが、そのまま肌のコラーゲンとして定着するわけではありません。
食べたコラーゲンは、胃や腸で消化され、アミノ酸や小さなペプチドという状態にバラバラに分解されてから体に吸収されます。これは、「レンガの家を食べても、そのレンガがそのまま自分の家の壁になるわけではない」のと同じです。
2. 肉・魚・大豆などの良質な「たんぱく質」をしっかり摂る

コラーゲンのもととなる材料は、良質なたんぱく質です。肉・魚・卵・大豆製品など、アミノ酸バランスの良いたんぱく質を毎日の食事からしっかり摂ることが基本になります。
ただし、脂質を多く含むものもあるため、カロリーのとりすぎには注意が必要です。たんぱく質の種類を偏らせず、バランスよく組み合わせることを意識しましょう。
3. 合成に不可欠な「ビタミンC」と「鉄」を組み合わせる

材料となるたんぱく質をとるだけでは、コラーゲンはつくれません。肌の中でコラーゲン(鉄筋)を組み立てるには、ビタミンCと鉄分が「工具」として必ず必要になります。
ビタミンCや鉄分が不足していると、職人さん(線維芽細胞)が丈夫な鉄筋を組み立てることができません。そのため、野菜や果物でビタミンCを、赤身の肉や青菜で鉄分を補い、たんぱく質と組み合わせてとることが大切です。
4. 「たくさん摂れば増える」わけではないため、バランスの良い食事をする

「ビタミンCが不足するとコラーゲンが作れない」からといって、「ビタミンCをたくさん摂れば摂るほどコラーゲンが増える」わけではないということです。
工具が足りないと仕事は止まってしまいますが、工具を必要以上に買い足したからといって、建物が勝手に増築されるわけではありません。
まずは不足しないようにバランスの良い食事を心がけることが大切です。
コラーゲンを増やすうえでサプリ・ドリンクは手助けになる?研究でわかっていること5選
「コラーゲンのサプリメントやドリンクは飲んでも意味がない」という声もありますが、研究ではどのようなことが分かっているのでしょうか。
結論から言うと、効果がないと完全に証明されたわけでも、効果があると確立されたわけでもありません。現在の研究で分かっている事実を整理します。
1. 飲んだコラーゲンの一部は「ペプチド」として血液中に現れる

以前は、「コラーゲンを食べてもすべてバラバラのアミノ酸になるから意味がない」と言われていました。しかしこれは半分正しく、半分は不正確です。
現在では、食べたコラーゲンがすべてバラバラになるわけではなく、一部は「Pro-Hyp(プロリルヒドロキシプロリン)」などの2〜3個のアミノ酸がつながった「ペプチド」の状態で、血液中に入ることが確認されています。
2. 肌の水分量や弾力が改善したという報告がある

血液中に入ったコラーゲンペプチドが、培養した細胞やマウスの実験で、コラーゲンをつくる職人さん(線維芽細胞)を増やす働きをしたという報告は存在します。
また、人の肌でも、コラーゲンペプチドを飲むことで肌の水分量や弾力が改善したとする研究報告(メタ解析)もあります。
3. 「企業の資金が入っていない研究では差が出なかった」とする解析もある

しかし、「人の肌でコラーゲンそのものが増える」ことまでは証明されていません。日本の国立健康・栄養研究所も「体内で再び皮膚のコラーゲンとなるかは定かでない」としています。
また、「見た目のシワが減った」と感じることと、「機器で測った肌の数値が良くなった」ことは別であるという点も、研究の解釈を難しくしています。
4. 研究で使われた量は1日0.6〜12g、期間は2〜12週とばらつきが大きい

「コラーゲンを1日にどれくらい飲めばいいのか」についても、公的な基準はありません。
これまでの研究で使われたコラーゲンの量は1日0.6gから12gまでと幅広く、期間も2週間から12週間とばらつきがあります。そのため、「最低◯gは必要」と断定することはできません。
サプリメントを取り入れること自体を否定する必要はありませんが、まずは紫外線対策のような確実性の高い基本のケアを先に行うのが合理的と考えられています。
5. アレルギー・持病・妊娠中の方は医師への相談が推奨される

コラーゲンサプリを取り入れる場合は、安全性にも注意が必要です。
過去には、コラーゲン入りの化粧品を使って肌が反応したあとに、コラーゲンサプリを飲んで重いアレルギー症状(アナフィラキシー)を起こした報告があります。魚や牛肉にアレルギーがある方はとくに注意してください。
また、腎臓の機能に問題がありタンパク質の制限を指示されている方は、コラーゲンもタンパク質の一種であるため、事前に主治医に相談が必要です。妊娠中や授乳中の方も、安全性の十分なデータがないため、多量摂取は避けて医師に相談するようにしてください。
コラーゲン入りの化粧品について知っておきたいポイント3選
結論からお伝えすると、化粧品に配合されたコラーゲンが肌の奥深く(真皮)まで届いて、直接コラーゲンとして増えるわけではありません。
塗るコラーゲンには、肌の奥を増やすこととは別の、大切な役割があります。
1. 化粧品が届くのは角層までであることを知る

肌には、外からの異物の侵入を防ぐためのバリア機能が備わっています。皮膚の奥まで成分が吸収されるには、分子がとても小さい必要があります(これを500ダルトンの壁と呼ぶことがあります)。
コラーゲンの分子はこれよりも数百倍も大きいため、塗って真皮まで届いて新しいコラーゲンになるとは言えません。化粧品が届くのは、肌の一番外側にある「角層(かくそう)」という部分までです。

2. 塗るコラーゲンは肌の表面のうるおいを保つ

奥まで届かないからといって、塗るコラーゲンに意味がないわけではありません。肌の表面にとどまることで、水分を抱え込んでうるおいを保つ、優れた保湿成分としての役割を果たします。
つまり、真皮の鉄筋の補充にはなりませんが、肌の表面の保湿としては有用と考えられています。
3. 化粧品・医薬部外品・医薬品では表示できることが異なる

日本のルールでは、化粧品がパッケージなどでうたえる効果の範囲が厳密に決まっています。
化粧品で言えるのは「肌にはりを与える」「乾燥による小ジワを目立たなくする(※効能評価試験済みの場合)」といった表面的なことまでです。「コラーゲンを増やす」「真皮に働きかける」といった表現は、化粧品ではできない決まりになっています。
セルフケアで届く範囲と、美容皮膚科で相談できること
紫外線対策や保湿、食事などのセルフケアは肌の土台を守るために欠かせませんが、すでに減ってしまったコラーゲンを大きく増やすことには限界があります。
より積極的なケアを望む場合は、医療機関でのアプローチという選択肢もあります。
1. セルフケアの役割|紫外線対策や保湿で、今のコラーゲンを「守る・維持する」

日焼け止め・物理遮光・禁煙・バランスの良い食事といったセルフケアは、「今あるコラーゲンをこれ以上減らさない」ことを目的としたケアです。
すでに減ってしまったコラーゲンを元の量に戻すことは、セルフケアの範囲では難しいとされています。
しかし、正しいセルフケアを継続することで、肌の土台を守りながら老化の進み方を緩やかにする効果は期待できると考えられています。

2. 美容皮膚科の役割|専門的な機器を用いて、真皮からの「ハリ・引き締め」を目指す

より積極的にコラーゲンの産生を促したい場合は、美容皮膚科(クリニック)でのアプローチという選択肢があります。具体的には、レーザー、高周波、超音波、注入などの方法があります。
ただし、これらは自由診療(保険適用外)であり、効果には個人差があります。腫れや赤み、色素沈着などのリスクをともなう医療行為であるため、適応があるかどうかは医師の診察のうえで判断されます。
急に現れた皮膚の変化や、大きくなる・治らないといった変化がある場合も、自己判断せず医療機関を受診してください。

コラーゲンを増やす方法についてよくある質問3選
ここでは、コラーゲンのケアについてよくある疑問にお答えします。
1. コラーゲンサプリは効果がないって本当ですか?

効果がないと完全に証明されたわけでも、効果があると確立されたわけでもありません。
飲んだコラーゲンの一部はペプチドとして血液中に入り、肌の弾力が改善したという報告がある一方で、企業の資金が入っていない質の高い研究では差が出なかったとする報告もあります。まずは紫外線対策などの基本を固めたうえで、取り入れるかどうかを判断するのが合理的と考えられています。
2. コラーゲンサプリはいつ飲むと効果的ですか?

コラーゲンを摂取するタイミングについて、「朝と夜どちらがより効果的か」といった明確な研究データはありません。
いつ飲むかよりも、毎日無理なく続けられることの方が大切だと考えられています。ご自身の生活リズムに合わせて、飲み忘れの少ないタイミングを見つけてみてください。
3. 妊娠中や授乳中でもコラーゲンを摂って大丈夫ですか?

妊娠中や授乳中の方が、サプリメントなどからコラーゲンを多量に摂取することの安全性について、十分なデータはそろっていません。
まとめ|コラーゲンは「増やす」より「減らさない」から始めよう

コラーゲンは、外から足して簡単に増やすものではなく、体の中でつくられ、壊されるものです。
だからこそ確実にできるのは、「増やす方法」を探すことよりも先に、紫外線や喫煙といった壊す要因を減らし、つくる職人さん(線維芽細胞)が働ける土台を守ることです。
毎日の食事で材料となるタンパク質やビタミンCを切らさないようにし、サプリメントなどは、その土台の上に置く「足すかどうかを自分で決める選択肢」にすぎません。やることの優先順位をつけて、まずは基本の「減らさないケア」から始めてみましょう。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の商品・施術・医療機関を推奨するものではありません。肌の状態や治療の適応については、医師の診察のうえで判断されます。
この記事の監修医師
髙瀬 聡子 医師
医療法人社団 愛心高会 理事長/ウォブクリニック中目黒 総院長(専門領域:皮膚科・美容皮膚科)
本記事は、皮膚科・美容皮膚科を専門とする髙瀬聡子医師が、医学的根拠に基づいた正確な情報であることを確認しています。
